2009年03月21日 13:00
青春
青春とは人生の或(あ)る期間を言うのではなく、心の様相(ようそう)を言うのだ。優れた想像力、逞(たくま)しき意志、炎(も)ゆる情熱、怯懦(きょうだ)を却(しりぞ)ける勇猛心(ゆうもうしん)、安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春というのだ。年を重ねただけでは人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。苦悶(くもん)や、狐疑(こぎ)や、不安、恐怖、失望、こういうものこそ恰(あたか)も長年月の如(ごと)く人を老いさせ、精気ある魂をも芥(あくた)に帰(き)せしめてしまう。年は70であろうと16であろうと、その胸中(きょうちゅう)に抱(いだ)き得(う)るものは何か。曰く驚異への愛慕心(あいぼしん)、空にきらめく精神、その輝きにも似たる。
事物(じぶつ)や死そうに対する欽仰(きんぎょう)、事に處(しょ)する剛毅(ごうき)な挑戦、小児の如く、求めて止まぬ探求心、人生への歓喜(かんき)と興味(きょうみ)。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老いゆる。
人は自信と共に若く 恐怖と共に老いゆる。
希望ある限り若く 失望と共に老い朽(く)ちる。
大地より、神より、人より、美と喜悦(きえつ)、勇気と壯大(そうだい)、そして威力(いりょく)の霊感(れいかん)を受ける限り、人の若さには失われない。これらの霊感が絶え、悲歎(ひたん)の白雪(はくせつ)が人の心の奥までも蔽(おお)いつくし、皮肉(ひにく)の厚氷(あつごおり)がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ人は全くに老いて、神の憐(あわれ)みに乞(こ)うる他はなくなる。